高校数学が苦手になる理由
注)この記事は、高校数学を想定して書かれています。
数学ができないのは、前の単元をしっかりと理解できていないままに、授業スピードに引きずられて新たな単元に臨まなければならないからです。数学は、急がば回れ。家を建てるために土台が必要なように、数学は、しっかりと前の単元から理解を積み上げていく方が、結果的に点数が取れるようになります。
ここでは、どこまで立ち戻って学習するのが効率的なのか、チェックポイントを提示します。
二次関数ができるか
二次関数ができない人は高校数学ができません。
高校数学は分野ごとのつながりが強く、中でも二次関数は多くの分野に関わります。特に数Ⅱ、Bではほぼすべての分野に登場してきます。そのため、二次関数を理解せずに数Ⅱ、Bの問題演習を行うことは、無駄な努力とさえいえるでしょう。
逆を言えば、二次関数を得意だと言えるレベルまで鍛えることは、高校数学においてこれほど心強いものはないでしょう。そのため、まずは数Ⅰまでの二次関数をマスターしましょう。焦ってはいけません。
さて、二次関数ができるようになるまでの道のりで、因数分解と二次方程式は、避けて通れません。
ところで、二次方程式といえば、解を求める際に使われる「解の公式」。こういった公式はしっかりと暗記して、実践で使えるレベルまで訓練しておきましょう。本番で忘れたときのためにも、自分で導き出せるようにすることも必要です。
因数分解については次項で説明します。
因数分解ができるか
みんなが苦手な因数分解。似たような公式が何個も出てきて違いがわからん!因数分解でつまずくのは、公式を丸暗記しようとするからです。
さて、そもそも因数分解とは何でしょう。それは、掛け算の形に分解すること。何をやっているのかというと、展開の逆。式の中の共通部分を切り出しているのです。この因数分解ができないと二次方程式も二次関数も解けません。
つまり、ほぼすべての分野で基礎として必須となります。
因数分解では、いくつか公式が出てきますが、それらを使えずに苦労する学生が多いです。まずは、公式を使いこなせるように手を動かして、たくさん問題を解きましょう。公式を使いこなすことができれば、自然に公式も暗記できます。まずは覚えようとせず、何をやっているのかをなぞってみましょう。
それこそ、高校数学ではたくさんの公式と出会います。公式は闇雲に丸暗記しても実践では使えません。意味や使い方の理解が必要です。
数学はインプットではなくアウトプットすることが大事なので、「公式の導き方を知る」、「何をするための公式なのかを理解する」、「公式を適切に使えるように練習する」の3つを重点的に意識しましょう。
また、一度は公式を自分で証明してみるようにしましょう。教科書を模写するだけでも構いません。公式と導き方をセットで覚えておくと、問題を解くうえでとても役に立ちます。
定義と定理の違いが理解できているか
定義は、決めごとです。簡単に例を出すと、「二つの辺の長さが等しい」これが二等辺三角形の定義となります。
対して定理とは、定義により正しいことが証明されたものです。ここでいうと、二等辺三角形の「二つの辺の長さが等しい」という定義から導き出された、「二つの底角は等しい」といった性質が定理となります。
図形の問題を例にすると、中学校までの数学では、円周角の定理と三平方の定理の2つで解ける問題がほとんどでした。高校数学では、扱う定理がグッと増えます。図形の定理だけでも以下のような定理が数多く存在します。
・正弦定理、余弦定理
・接弦定理
・チェバ・メネラウスの定理
・方べきの定理
・内心・外心・重心に成り立つ性質
高校数学では出てくる定理が多く、覚えられないと問題が解けないので、数学が苦痛になります。定理を覚えられないのは意味を理解しようとせずに丸暗記しようとするからです。
何のための定理か、どのような性質を持っているのか、それはなぜなのか、を押さえましょう。
定理の証明にアレルギーはないか
高校数学に関していえば、定理の証明そのものを自力でできる必要はありません。問題が解ければいいのですから。一方で、定理の証明にも意味があります。なぜその定理が成り立つのかを教えてくれるからです。
定理の証明を、「ふーん、そんなもんなんだ。よくわからないけど凄いんだな。信じてみよう。」と割り切って、思考停止をしないスタンスが大切です。
まとめ
数学対策には、大きく分けて2つのアプローチがあります。
・なぜそう言えるのか、理解したうえで暗記し、問題演習を進めていく。
・分かないけれどもまず暗記して、問題を解いているうちにその意味が理解できてくる。
どちらが正しいというものではありません。一方で、理解と暗記とどちらを優先するにしても、どの分野から取り組むべきか、効率的な順番というものはあります。それが例えば、二次関数の分野が理解できているか、といったポイントです。三次方程式も指数関数も対数関数も三角関数も、二次関数が解けなければ解けないのですから。
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